「博多飯場たけのこ」の産地は、福岡市早良区の飯場(いいば)や曲渕(まがりぶち)の里山です。この地域におけるタケノコ栽培の歴史は古く、16世紀くらいから始まったとも伝えられています。その栽培が始まったとされるお話が今なお語り継がれています。 博多飯場たけのこ物語 16世紀の終わりごろ、博多や佐賀との交易を生業としていた曲渕城の領民がおりました。その領民があるとき、博多の沿岸部で海産物を仕入れてから飯場に帰る途中、当時は珍しかった孟宗竹の林にタケノコが芽吹いているのを見つけました。食べてみると大変美味しかったので「飯場は里芋が美味しく育つ土地だからタケノコも美味しく育つのではないか」と考え、種竹を持ち帰って飯場の土地でタケノコの栽培を始めました。その後、飯場で収穫したタケノコを食べてみるとあまりの美味しさに驚き、タケノコの販売を始めたのです。それから飯場のタケノコは美味しいという噂が広まり、タケノコの栽培が盛んになったといわれています。そのあとも長い間地域の産業としてタケノコ栽培が営まれていました。 しかし近年は、国内産タケノコの需要が減り、飯場・曲渕の過疎化や高齢化も進み、地域の産業としてタケノコ栽培を維持することも難しい状況となっています。私たちは、そのような状況の中で、香りや味の良い飯場・曲渕で育ったタケノコを「博多飯場たけのこ」としてブランド化し、多くの方に知っていただき、味わっていただくための活動を始めました。この活動が、地域の伝統文化の保持、飯場や曲渕の美しい里山の保全に繋がることを目指しています。